安全・安心な移乗介助を行うために、基本手順と現場で注意したいポイントを解説
介護現場で毎日のように行う「移乗介助」。
ベッドから車椅子、車椅子から椅子、車椅子からトイレなど、さまざまな場面で必要になります。
移乗介助は、利用者様の転倒や介護職員の腰痛につながる可能性があるため、正しい方法を身につけることが大切です。
今回は、車椅子への移乗介助で注意したいポイントを紹介します。
移乗介助の基本的な流れ
1.利用者様に声をかける
いきなり身体を動かすのではなく、
「これから車椅子へ移りますね」
「一緒にゆっくり立ちましょう」
など、これから行う動作を説明します。
利用者様が不安にならないよう、動作ごとに声をかけることが大切です。
2.車椅子を適切な位置に置く
車椅子をベッドの近くまで寄せ、移乗しやすい角度に調整します。
車椅子のブレーキがかかっているか、フットサポートが移乗の邪魔にならない位置にあるかも確認しましょう。
3.利用者様の姿勢を整える
浅く座っている場合は、足の位置や身体の向きを確認します。
立ち上がる前に、足を床につけてもらい、身体を前に傾けられる姿勢を作ります。
4.立ち上がりをサポートする
「せーの」で急に引っ張るのではなく、利用者様自身の力を活かしながら立ち上がれるように支援します。
腕を強く引っ張ると、肩や腕を痛める可能性があるため注意が必要です。
5.方向転換して座る
立位が安定したら、車椅子の方向へゆっくり方向転換します。
車椅子に身体を近づけ、座る位置を確認してから、ゆっくり腰を下ろしてもらいます。
移乗介助で特に注意したい5つのポイント
① 車椅子のブレーキを確認する
移乗前には必ずブレーキを確認します。
ブレーキがかかっていない状態で立ち上がると、車椅子が動いて転倒する危険があります。
② 利用者様を急かさない
「早く立ってください」などと急かすのではなく、利用者様のペースに合わせましょう。
身体機能や体調によって、立ち上がるまでに時間がかかる場合もあります。
③ 腕を引っ張らない
介助者が利用者様の腕を強く引いて移動させるのは避けましょう。
利用者様の残存能力を活かしながら、身体を支えて介助することが基本です。
④ 介助者の腰を守る
介護職員が腰を曲げたまま無理に持ち上げると、腰への負担が大きくなります。
足を使って姿勢を安定させ、利用者様の身体を必要以上に持ち上げないことを意識しましょう。
また、利用者様の状態によっては、無理に一人で介助せず、二人介助や福祉用具の使用を検討することも重要です。
⑤ 利用者様の状態を確認する
普段は自力で立てる方でも、体調不良や疲労によって立位が不安定になることがあります。
移乗前に、表情、ふらつき、痛み、体調などを確認しましょう。
やってはいけない移乗介助
移乗介助では、
・車椅子のブレーキを確認しない
・利用者様の腕を強く引っ張る
・急いで移乗させる
・利用者様を抱えて無理に持ち上げる
・介助者が一人で無理をする
といった対応は事故につながる可能性があります。
特に「いつもできているから大丈夫」と判断せず、その日の状態を確認することが大切です。
まとめ
移乗介助で最も大切なのは、利用者様と介助者の両方が安全に行える方法を選ぶことです。
車椅子の位置やブレーキを確認し、利用者様に分かりやすく声をかけながら、できる動作は本人に行ってもらいましょう。
また、介助者が無理をしないことも重要です。
利用者様の身体状況によっては、二人介助やリフトなどの福祉用具を活用する必要があります。
一人ひとりの身体機能や状態に合わせて、安全な移乗介助を行いましょう。

